アトピー性皮膚炎のガイドラインはどのような経緯でつくられたのですか? 下関 皮ふ科

1990年代後半に、アトピー性皮膚炎の診療現場では、治療をめぐってかなりの混乱が見られました。特に治療の大きな柱となるステロイド外用薬について、患者さんのみならず社会一般に根拠に乏しい不信感が拡がり、ステロイドを嫌う風潮が強まりました。その結果、必要な治療を受けないまま重症化してしまう患者さんが増え、患者さんの不利益は大変大きなものがありました。日本皮膚科学会ではこのような事態をできるだけ早く改善するため、2000年に「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」を作成し、皮膚科医に対して治療の原則を再確認すると共に、患者さんや社会一般に対して最も適切と考えられる基本的な治療方針を示しました。その後、新しい治療法の導入などに伴い数回改訂し、2009年に作成された「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」が一番新しいものです。
なお、日本アレルギー学会よりアトピー性皮膚炎診療ガイドラインが発表されておりますが、これはプライマリーケアを担当する医師を広く対象としたものであり、皮膚科を専門とする医師を対象にした本ガイドラインとはその意図するところが若干異なります。
日本皮膚科学会編「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」について
監修 佐伯 秀久先生 (東京慈恵会医科大学皮膚科 准教授)