悪性黒色腫 各病期(ステージ)別治療 下関 門司 皮ふ科
悪性黒色腫 各病期(ステージ)別治療

各病期(ステージ)別治療、および生存率
生存率は、通常、がんの進行度や治療内容別に算出しますが、患者さんの年齢や合併症(糖尿病などがん以外の病気)の有無などの影響も受けます。用いるデータによってこうした他の要素の分布(頻度)が異なるため、生存率の値が異なる可能性があります。 ここにお示しする生存率は、これまでの国立がんセンターのホームページに掲載されていたものです。生存率の値そのものでなく、ある一定の幅(データによって異なりますが±5%とか10%等)をもたせて、大まかな目安としてお考え下さい。
I期
初発部位の腫瘍辺縁より1〜2cm離して広汎切除手術が行われます。しかし、指などの場合、切断手術になることもあり、また部位によっては植皮手術を行う場合もあります。5年生存率は95〜100%くらいで、ほとんど治癒するという良好な予後が得られています。
II期
初発部位の腫瘍辺縁より2〜3cm離して広汎切除手術を行い、しばしば植皮手術が行われます。予防的に所属リンパ節の郭清手術(リンパ節をすべてとりさること)、センチネルリンパ節生検が行われます。また、腫瘍の再発や転移を予防するために抗がん剤による化学療法や、インターフェロンによる免疫療法が行われます。5年生存率は70〜80%くらいで、多くの方が治癒し、予後は良好といえます。
III期
初発部位の腫瘍辺縁より2〜3cm離して広汎切除手術を行い、所属リンパ節の郭清手術が行われます。皮膚転移や皮下転移に対しては大きめに切除したり、インターフェロンを注射したり、放射線治療を行ったりします。また、腫瘍の再発や転移を予防するために抗がん剤による化学療法が行われます。治療後、腫瘍の再発や転移が発生する確率が高く、厳重に定期検査を行う必要があります。5年生存率は50〜60%です。
IV期
病状により異なりますが、外科療法の他、抗がん剤による化学療法、リンパ球などを使った免疫療法、および放射線療法などいろいろな手段を組み合わせた治療(集学的治療)が行われます。例えば、肺や脳転移に対して手術が可能な場合、積極的に切除を行い、術後強い化学療法が繰り返し行われます。しかしながら、手術が可能な場合は少なく、一般に強い化学療法の治療が主体になります。皮膚転移や皮下転移に対してはIII期と同様な治療が行われ、やはり強い化学療法が繰り返し行われます。化学療法の奏効率(腫瘍の大きさが2方向で50%以上縮小した状態が4週間以上持続する確率)は投与される抗がん剤の種類によっても異なりますが、一般的に20〜40%くらいです。5年生存率は10%前後で、現在のところ集学的治療を行い、寿命の延長ができても、治癒することは非常に難しいといえます。最近、新しい免疫療法による治療が試みられようとしています。
国立研究開発法人 国立がん研究センター